「まわり」は、回転や身のこなしに関わるなら「回り」、囲んでいる範囲を指すなら「周り」で使い分けます。迷いやすい「身の回り」は「回り」が標準です。
「回り」と「周り」の使い分け
文化審議会国語分科会の報告では、次のように整理されています。
| 回り | 周り | |
|---|---|---|
| 意味 | 回転。身辺。円筒形の周囲。 | 周囲。周辺。 |
| 用例 | モーターの回りが悪い/回り舞台/時計回り/身の回り/胴回り/首回り | 池の周り/周りの人/周りの目が気になる/学校の周りには自然が残っている |
見分け方は「ぐるっと回っているか」「ぐるっと囲んでいるか」です。動くものや身につけるものなら「回り」、囲んでいる空間や人々なら「周り」と考えると整理できます。
「身の回り」は「回り」
もっとも間違えやすい語です。「身の回り」が標準的な表記で、報告でも「回り」の用例として挙げられています。
- ◯ 身の回りの世話をする
- ◯ 身の回りを整理する
- ◯ 身の回り品
「自分を取り囲む範囲」という感覚から「身の周り」と書きたくなりますが、この語における「まわり」は身辺を指すものとして「回り」に分類されています。
体や物の寸法は「回り」
「胴回り」「首回り」のように、円筒形のものをぐるりと測る言い方は「回り」です。
- 胴回りを測る/首回りがきつい/腰回りが気になる
- ひと回り大きいサイズ
「ひと回り」「二回り」のように、回数や差を表す言い方も「回り」です。
人や場所を囲むものは「周り」
- 池の周りを一周する
- 周りの人に相談する
- 周りの目が気になる
- 学校の周りには自然が残っている
「自分の周り」は、自分を取り巻く人間関係や環境を指すときに使います。「身の回り」(身辺の物事)とは指すものが違うので、混同しないでください。
| 言い方 | 指すもの |
|---|---|
| 身の回り | 持ち物・世話・日常の物事 |
| 自分の周り | 取り巻く人々・環境 |
「廻り」はどう扱うか
「廻」も「まわる」と読む漢字ですが、「回」とは扱いが異なります。
漢字辞典では「廻」の音訓は「カイ・エ/まわす・まわる・めぐる・めぐらす」とされています。一方、文化審議会国語分科会の「まわり」の項に挙げられているのは「回り」と「周り」の二つだけで、「廻り」は示されていません。
そのため、一般の文章では「回り」を使うのが無難です。「廻り」を見かけるのは、次のような場面に限られます。
- 固有名詞(店名・地名・作品名など)
- 「大廻り」「廻り縁」など、業界や伝統芸能で定着した語
- 古い文献や、意図的に古風な表記を選んだ文章
固有名詞は書き換えません。元の表記のまま使ってください。
迷ったときの判断手順
- 回転・移動しているか → 回り(時計回り、回り道)
- 身につける・身辺のことか → 回り(身の回り、首回り)
- 囲んでいる空間や人々か → 周り(池の周り、周りの人)
- それでも迷うなら → ひらがなで「まわり」と書いてもかまいません
例文
- 入院中の父の身の回りの世話をしている。
- 公園の周りをゆっくり歩いた。
- 時計回りに並んでください。
- 周りの意見に流されないようにしたい。
- 去年よりひと回り大きな鉢に植え替えた。
この使い分けはどこまで決まりごとか
上の用例は文化審議会国語分科会の報告「『異字同訓』の漢字の使い分け例」に基づいています。ただしこの報告は、示した使い分けを「一つの参考として提示するもの」とし、「ここに示した使い分けとは異なる使い分けを否定する趣旨で示すものではない」と明記しています。
年代差・個人差や、分野ごとの表記習慣の違いがあることも述べられています。公的な文書や不特定多数に向けた文章では報告の用例に沿うのが無難ですが、異なる書き方を見かけても直ちに誤りとは言えません。
まとめ
- 回転・身辺・円筒形の寸法は「回り」、囲む範囲は「周り」。
- 「身の回り」は「回り」。「自分の周り」とは指すものが違う。
- 「廻り」は報告に示されておらず、一般の文章では「回り」が無難。固有名詞はそのまま。
- 迷ったらひらがなの「まわり」も選べる。
同じように読みが同じで漢字が分かれる語には「なおる(直る・治る)」があります。あわせて「直る」と「治る」の使い分けもご覧ください。