萱堂(けんどう)とは、他人の母を敬っていう言葉です。読み方は「けんどう」。「母上」「母君」と同じ意味の、かたい書き言葉です。
手紙や書状で「御萱堂(ごけんどう)」の形で使われ、相手の母親を指します。現代の日常会話ではまず使われず、古い書簡や記録を読むときに出会う語です。
同じ意味でより広く使われるのが「母堂(ぼどう)」です。この記事では、萱堂の意味と由来、読み方、母堂との関係、書状での使われ方を整理します。
「萱堂」の意味と読み方
読み方は「けんどう」
「萱堂」は「けんどう」と読みます。「萱」は「かや」とも読む字ですが、この語では音読みで「けん」です。「けんどう」には県道・剣道・権道など同音の語が多いため、文脈で判断する必要があります。
意味は「他人の母の敬称」
デジタル大辞泉および精選版 日本国語大辞典では、「萱堂」は母を敬って呼ぶ言葉。母上の尊称と説明されています。
自分の母ではなく、相手や第三者の母を敬って指す語です。自分の母親を「私の萱堂」とは言いません。
「萱堂」の由来
辞書によれば、この語は中国の古い住まいの作りに由来します。
昔の中国の家では、主婦の部屋を「北堂」と呼んでいました。その庭に萱草(かんぞう)という植物を植えたことから、「萱堂」が母を指す言葉になったとされています。
つまり「萱草の植わった堂(部屋)」が、そこに住む人=母親を表すようになった、という成り立ちです。同じ発想から「北堂」も母の敬称として使われます。
「母堂」との違い
「母堂(ぼどう)」も、他人の母を敬っていう語です。デジタル大辞泉では他人の母を敬っていう語。母君。母上と説明されており、意味はほぼ同じです。
- 母堂:現代でも弔電や改まった手紙で使われる。「ご母堂様」の形が一般的。
- 萱堂:より古風で、使用場面が限られる。現代の文書ではほとんど見かけない。
現在の文章で相手の母を敬って書くなら、「ご母堂」を選ぶのが自然です。萱堂は、古い書状を読むときに意味が分かればよい語と考えてください。
書状に見られる「御萱堂」
古い手紙では「御萱堂」の形で、相手の母親を指して使われます。あわせて使われる言い回しに次のようなものがあります。
- 御萱堂御不快の由:お母上がご病気とのことで——という意味。「御不快」は体調不良・病気を指す古い言い方です。
- 御萱堂様:宛名や文中で相手の母を敬って呼ぶ形。
「御不快」を「不愉快」の意味に取ると文意が通じなくなります。書状では病気・不調を指すので注意してください。
母を表す似た言葉
- 母堂(ぼどう):他人の母の敬称。現代でも使われる。
- 北堂(ほくどう):萱堂と同じ由来を持つ母の敬称。
- 母君(ははぎみ):やわらかい敬称。文学的な文章に。
- ご母堂様・お母上:弔事や改まった場面で使う現代の言い方。
まとめ
- 萱堂(けんどう)は、他人の母を敬っていう言葉。母上・母君と同じ意味。
- 由来は、中国で主婦の部屋を「北堂」と呼び、その庭に萱草を植えたこと。
- 自分の母には使わず、相手や第三者の母を指す。
- 現代の文章で相手の母を敬うなら「ご母堂」を使うのが自然。萱堂は古い書状で出会う語。