「採れる(とれる)」とは、つみとって手に入れられる、採取できるという意味です。「山菜が採れる」「この土地では良質な水が採れる」のように使います。
同じ「とれる」でも、当てる漢字によって意味が変わります。ざっくり言えば、一般的な場面は「取れる」、つみとる・採取するなら「採れる」、つかまえるなら「捕れる」、写真なら「撮れる」です。
なお「穫れる」「獲れる」という書き方も見かけますが、これらは漢字辞典の使い分け一覧には通常挙がっていません。詳しくは後半で説明します。
「とれる」に当てる漢字と使い分け
漢字ペディア(日本漢字能力検定協会)が示す「とる」の使い分けをもとに、「とれる」の形で整理します。
取れる — 広く一般に使う
「取る」は、手に持つ・自分のものにする・とり除く、といった意味を広くカバーします。迷ったときはこの字を使えば間違いになりません。
例:ボタンが取れる/疲れが取れる/連絡が取れる/メモが取れる/魚が取れる
採れる — つみとる・採取する
「採る」は、つみとる、採取する、採用するという意味です。自然の中から必要なものを選び取って手に入れるときに使います。
例:山菜が採れる/きのこが採れる/菜種から油が採れる/良質な温泉が採れる/血液が採れる
捕れる — つかまえる
「捕る」は、つかまえて離さないという意味です。動いているものをつかまえる場面で使います。
例:ネズミが捕れる/生け捕れる/ファウルボールが捕れる
撮れる — 撮影する
「撮る」は撮影するという意味です。写真や映像に限って使います。
例:写真がきれいに撮れる/動画が撮れる
「穫れる」「獲れる」はどう扱うか
検索でよく尋ねられるのがこの2つです。結論から言うと、漢字の使い分けを示す一覧には通常挙げられていない書き方です。
漢字ペディアが「とる」の同訓異義として挙げているのは、取る・採る・捕る・執る・撮る(および補助的に盗る・摂る)で、「獲る」「穫る」は含まれていません。
字そのものの読みを見ても、
- 獲:音は「カク」、訓は「える」。「獲得」「捕獲」「漁獲」のように使う字です。
- 穫:音は「カク」。「収穫」の語で使われ、穀物をかりとる・とりいれるという意味を持つ字です。
となっており、どちらも「とる/とれる」という読みが標準の使い分けとして示されているわけではありません。
ただし実際の文章では、漁業なら「魚が獲れる」、農業なら「米が穫れる」という表記を目にします。字の意味と場面が合っているため、慣用的に使われている書き方です。
迷ったときは「取れる」または「採れる」を選べば、表記として問題になりません。魚なら「取れる」、山菜や作物なら「採れる」で通じます。文章の書き分けにこだわる必要がある場合を除いて、無理に「獲れる」「穫れる」を使う必要はありません。
「取れる」の意味
参考に、「取れる」自体が持つ意味も確認しておきます。デジタル大辞泉では次の意味が挙げられています。
- ついていたものが離れ落ちる。例:「ボタンが取れる」
- 好ましくない状態が消え去る。例:「疲れが取れる」
- 収穫物・捕獲物が得られる。例:「米が取れる」
- そのように解釈できる。例:「皮肉に取れる」
- 調和した状態になる。例:「釣り合いが取れる」
- 写真に写る/録音される
3つめの「収穫物・捕獲物が得られる」に注目してください。辞書は「米が取れる」を「取れる」の用例として載せています。作物や魚について「取れる」と書くのは、辞書の上でも正しい書き方です。
迷いやすい例の早見
- 山菜・きのこ・木の実 → 採れる(取れる も可)
- 米・野菜などの作物 → 取れる(穫れる は慣用)
- 魚・貝 → 取れる(獲れる は慣用)
- 温泉・石油・地下水 → 採れる
- ボタン・シミ・疲れ → 取れる
- 写真・映像 → 撮れる
- ネズミ・ボール → 捕れる
読み方について
「採れる」「取れる」「捕れる」「撮れる」はいずれも「とれる」と読みます。「獲れる」「穫れる」も文脈上は「とれる」と読ませますが、「獲れる」を「えれる」と読ませる例も見られます。読み方に迷う表記を避けたい文書では、「取れる」「採れる」を使うのが確実です。
まとめ
- 採れる=つみとる・採取する。山菜、温泉、油など。
- 取れる=広く一般に使える。ボタン、疲れ、米、魚など。迷ったらこれ。
- 捕れる=つかまえる。撮れる=撮影する。
- 「穫れる」「獲れる」は漢字の使い分け一覧には通常挙がらない書き方。慣用としては使われるが、必須ではない。