「完了」と「終了」は、国語辞典の上では意味がほとんど同じです。どちらも「物事がすっかり終わること」を指し、辞書に明確な線引きはありません。
違いが出るのは実際の使われ方です。おおまかに言えば、完了(かんりょう)は「やるべきことをやり終えた」という達成に重点があり、終了(しゅうりょう)は「時間的に終わった」ことに重点があります。「手続きが完了しました」「試合終了」という言い方の差が、その典型です。
この記事では、辞書の記述を確認したうえで、実際の用例からどう使い分けられているかを整理します。
「完了」の意味と読み方
読み方は「かんりょう」
「完了」は「かんりょう」と読みます。
意味は「完全に終わること」
デジタル大辞泉では、「完了」は物事が完全に終わること。また、完全に終えることと説明されています。用例として「開店の準備が完了する」が挙げられています。
もう一つ、文法用語としての意味もあります。動作や状態がすでに終わっていて、その結果が現在まで続いている状態を表す言い方のことです。英語の現在完了などがこれにあたります。この「結果が残っている」という感覚は、日常の「完了」の使い方にも通じています。
「終了」の意味と読み方
読み方は「しゅうりょう」
「終了」は「しゅうりょう」と読みます。
意味は「すっかりおわること」
デジタル大辞泉では、「終了」は物事がすっかりおわること。また、おえることと説明されています。用例は「式典を終了する」「試合終了」です。対義語は「開始」とされています。
辞書の上では意味がほぼ同じ
ここまで見たとおり、2つの語釈はほとんど重なります。「完了」を「完全に終わること」、「終了」を「すっかりおわること」と説明しており、辞書は両者に明確な区別を設けていません。
そのため、どちらを使っても誤りにはならない場面が多くあります。「作業が完了した」「作業が終了した」は、どちらも自然な日本語です。
ただし実際には、語によって結びつきやすい相手が決まっています。次から、その傾向を見ていきます。
実際の使い分けの傾向
「完了」は達成に重点がある
「完了」は、やるべきことをすべてやり終え、その結果が残っている場面でよく使われます。「完」の字が「欠けたところがない」という意味を持つとおり、必要な要素がすべてそろった状態を指します。
結びつきやすい言葉:手続き、登録、支払い、入金、工事、設定、ダウンロード、インストール、点検
「終了」は時間的な終わりに重点がある
「終了」は、続いていた物事が時間的に終わった場面でよく使われます。対義語が「開始」であることからも分かるとおり、始まりと終わりという時間の区切りを示します。達成できたかどうかは問いません。
結びつきやすい言葉:試合、放送、営業、受付、販売、サービス、イベント、会期、上映
この違いが分かる例
- 受付終了:受付の時間が終わったという意味。申込者がゼロでも使える。
- 受付完了:申し込みを受け付ける処理が最後まで済んだという意味。個々の申込者に対して使う。
同じ「受付」でも、時間の区切りを言うか、処理の達成を言うかで語が変わります。
例文で見る使い分け
「完了」を使う例
- お支払いが完了しました。確認メールをお送りします。
- 引っ越しの手続きは先週完了している。
- アップデートが完了するまで電源を切らないでください。
- 外壁の補修工事が完了した。
「終了」を使う例
- 本日の営業は終了しました。
- 試合は延長戦の末に終了した。
- このキャンペーンは3月31日で終了します。
- サービスの提供を終了することになりました。
入れ替えると意味が変わる例
「工事が完了した」は、予定していた工事をすべてやり終えたという意味です。「工事が終了した」と言うと、工事という作業が終わったという事実は伝わりますが、途中で打ち切られた場合にも当てはまります。やり遂げたことを明示したいときは「完了」を選ぶのが確実です。
ビジネス文書での使い分け
仕事の場面では、次のように考えると迷いにくくなります。
- 相手に「処理が済んだ」と伝えるとき → 完了(例:ご登録が完了いたしました)
- 期間や受付が締め切られたと伝えるとき → 終了(例:応募受付は終了いたしました)
- プロジェクトの報告 → 目標を達成したなら「完了」、期間が終わっただけなら「終了」
特に報告書では、この2語の選び方が「やり遂げたのか」「終わっただけなのか」という評価の差になります。曖昧にせず選ぶことが大切です。
「完」と「終」の字の違い
「完」は、欠けたところなくすべてそろっているという意味の字です。「完成」「完結」「完璧」などに使われます。
「終」は、おわりを表す字です。「終点」「最終」「終幕」などに使われます。
漫画や映画の最後に表示される「完」と「終」も、この違いに対応しています。「完」は物語が最後まで描き切られたこと、「終」はそこで話が終わることを示す表示として使われます。
豆知識
- 文法用語としての「完了」:古文では助動詞「つ」「ぬ」「たり」「り」が完了を表します。動作が終わり、その結果が残っている状態を示す点が、現代の「完了」の語感につながっています。
- 「終了」の初出:精選版 日本国語大辞典によれば、明治期の資料に用例が見られます。比較的新しい漢語です。
- IT分野の「完了」:ダウンロード完了、インストール完了のように、処理が最後まで走りきったことを示す表示に「完了」が使われます。途中で止まった場合は「中止」「失敗」となり、「終了」は使われません。
まとめ
- 辞書上の意味はほぼ同じで、どちらを使っても誤りにならない場面が多い。
- 完了(かんりょう)は、やるべきことをやり終えた達成に重点がある。
- 終了(しゅうりょう)は、時間的に終わったことに重点がある。対義語は開始。
- 手続き・支払い・工事には「完了」、試合・放送・受付には「終了」がなじむ。
- やり遂げたことを明示したいときは「完了」を選ぶ。
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