4語の違いは、「何を」「何をもとに」考えるかで分かれます。まず結論を表にまとめます。
| 語 | 辞書の意味 | 対象 | よりどころ |
|---|---|---|---|
| 予測 | 事の成り行きや結果を前もっておしはかること | これから起きること | データ・根拠(数字を伴うことが多い) |
| 予想 | 物事の成り行きや結果について前もって見当をつけること | これから起きること | 問わない(勘でもよい) |
| 推測 | ある事柄をもとにして推量すること | わからないこと(過去・現在も含む) | 手元の事実・手がかり |
| 想定 | ある条件や状況を仮に設定すること | 仮に置く前提 | 起きると信じていなくてよい |
ポイントは「想定」だけが仲間外れだということです。ほかの3語が「どうなるかを考える」のに対し、想定は「仮にこうだとして話を進める」ための言葉です。
「推測」と「想定」の違い
もっとも混同されやすい組み合わせです。決定的な差は、当てにいっているかどうかにあります。
| 推測 | 想定 | |
|---|---|---|
| 何をしているか | わからない事実を、手がかりから言い当てようとする | ある状況を、仮の前提として置く |
| 当たり外れ | ある(推測が当たる/外れる) | 問わない(想定どおり/想定外、という言い方はする) |
| 辞書の用例 | 犯行の動機を推測する | 火災を想定して避難訓練をする |
避難訓練をする人は、火災が起きると思っているわけではありません。起きた場合に備えて、仮にそう置いているだけです。これが想定です。
一方「犯行の動機を推測する」は、動機というすでに存在する事実を、残された手がかりから当てにいっています。これが推測です。
- ◯ 手紙の内容から、彼の心境を推測した。(事実を言い当てにいっている)
- ◯ 最悪の事態を想定して、予備の資材を用意した。(仮に置いている)
- △ 最悪の事態を推測して備える → 起きると判断したことになり、意味がずれます
「想定」と「予測」の違い
予測は「こうなるだろう」という見立て、想定は「こうだとして考えよう」という前提です。
- 来場者数を3,000人と予測する → 3,000人になると見ている
- 来場者数を3,000人と想定する → 3,000人として準備を組む(実際は増減しうる)
計画書で「想定」が多用されるのは、断定を避けつつ話を進められるからです。逆に、根拠を示して見通しを述べる場面では予測を使います。
なお「想定外」という言い方はありますが、「予測外」とは言いません。予測が外れた場合は「予測を下回る」「予測に反して」と表現します。
「予測」と「予想」の違い
どちらも未来について述べる点は同じで、多くの文脈で言い換えられます。差は根拠を伴うかどうかです。
辞書の用法欄には、「予測」は何らかの根拠に基づいて推測することで、数字的なものに基づく場合が多いと説明されています。「景気の動向を予測する」「株価予測」などがその例です。
対して「予想」は前もって見当をつけること全般を指し、広い範囲に使えます。「勝敗を予想する」「予想が外れる」のように、勘や期待が入っていてもかまいません。
| 予測 | 予想 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 必要(データ・統計) | なくてもよい |
| 場面 | 業務報告、分析資料 | 日常会話、スポーツ、娯楽 |
| 例 | 需要予測/降水確率の予測 | 優勝予想/結果を予想する |
競馬やスポーツで「予想」と言い、天気やビジネスで「予測」と言うことが多いのは、この差によるものです。
「推測」と「予想」の違い
時間の向きが違います。予想は未来、推測は時制を問いません。
- ◯ 明日の天気を予想する(未来)
- ◯ 彼が黙っている理由を推測する(現在すでにある理由)
- △ 彼が黙っている理由を予想する → 理由はすでに存在するので不自然
迷ったときの選び方
- 仮に置いているだけなら「想定」。 当てるつもりがないなら他の3語は使わない。
- すでにある事実を言い当てるなら「推測」。 未来の話でなければこれ。
- 未来の話で、データがあるなら「予測」。 資料や報告書ではこちら。
- 未来の話で、根拠が薄いなら「予想」。 会話や娯楽ではこちら。
例文
- 販売データをもとに、来期の需要を予測した。
- 今年は例年より暖冬になると予想されている。
- 足跡の大きさから、犯人の体格を推測する。
- 震度6強を想定した訓練を実施した。
- 想定していた人数を大きく上回る来場があった。
まとめ
- 想定だけが「仮に置く前提」で、当たり外れを問わない。
- 推測は、すでにある事実を手がかりから言い当てること。未来とは限らない。
- 予測は根拠に基づく未来の見立て。数字を伴うことが多い。
- 予想は未来の見当づけ全般。勘でもよく、もっとも広く使える。