「企画」と「計画」の違いは、何をやるかを考えるのが企画、それをどう進めるかを考えるのが計画という点にあります。
企画(きかく)は、あることを行うために計画を立てること、またはその計画そのもの。計画(けいかく)は、あることを行うために、あらかじめ方法や順序などを考えることです。
国語辞典の語釈を見ると、「企画」は「計画をたてること」と説明されており、2語の意味は大きく重なっています。明確な線引きがあるわけではありません。ただし実務では、時間の前後と担当する範囲がはっきり分かれています。
「企画」の意味と読み方
読み方は「きかく」
「企画」は「きかく」と読みます。「企(くわだてる)」と「画(はかる)」を組み合わせた言葉です。
意味は「あることを行うために計画をたてること」
デジタル大辞泉では、「企画」はある事を行うために計画をたてること。また、その計画。くわだてと説明されています。用例は「秋の公演を企画する」です。
精選版 日本国語大辞典では「くわだて。もくろみ。企図」とされています。「企」の字が示すとおり、まだ存在しないものを思い立ち、形にしようとするところに重点があります。
「計画」の意味と読み方
読み方は「けいかく」
「計画」は「けいかく」と読みます。「計(はかる)」と「画(区切る・はかる)」を組み合わせた言葉です。
意味は「あらかじめ方法や順序などを考えること」
デジタル大辞泉では、「計画」はある事を行うために、あらかじめ方法や順序などを考えること。また、その考えの内容と説明されています。用例は「計画を立てる」「計画を練る」です。
ポイントは「方法や順序」という部分です。何をやるかがすでに決まっている前提で、それをどうやって実現するかを組み立てるのが計画です。
「企画」と「計画」の違い
時間の前後で分かれる
- 企画:何をやるか、なぜやるかを考えて立ち上げる段階。アイデアと目的が中心。
- 計画:決まったことを、いつ・誰が・どうやるかに落とし込む段階。手順とスケジュールが中心。
企画が先、計画があとという順序になります。「企画が通ったので、これから計画を立てる」という言い方は自然ですが、逆の順序は成り立ちません。
問われることが違う
- 企画で問われるのは「面白いか」「意味があるか」「誰に届くか」
- 計画で問われるのは「実現できるか」「期限に間に合うか」「必要な人と予算はあるか」
言い回しの違い
「企画書」は、何をやりたいかを提案する書類です。「計画書」は、決まったことをどう進めるかを示す書類です。同じプロジェクトでも、この2つは中身が別物になります。
また「無計画」という言い方はありますが、「無企画」とは言いません。「計画的」とは言いますが、「企画的」も一般的ではありません。これは、計画のほうが手順を整えることという具体的な行為を指すためです。
使い分けの例文
「企画」を使う例
- 周年イベントを企画している。
- 新商品の企画が役員会で承認された。
- この企画は若い世代に届くだろうか。
- 企画書を来週までに提出してください。
「計画」を使う例
- 来期の売上計画を立てる。
- 工事は計画どおりに進んでいる。
- 無計画に始めたので途中で行き詰まった。
- 避難計画を全社員に周知する。
両方を使う例
「社員旅行を企画し、行程の計画を立てる」——前半が「どこへ何をしに行くか」を決める段階、後半が「何時にどのバスで移動するか」を決める段階です。同じ取り組みの中で、役割が分かれていることが分かります。
使う際の注意点
「企画」は名詞として単独で使える
「今回の企画は好評だった」のように、企画はできあがった提案そのものを指せます。計画も「計画が狂った」のように名詞で使えますが、指しているのは手順やスケジュールのほうです。
行政や経営の文書では併記される
「経営企画部」「企画課」は、何をやるかを構想する部署です。一方「◯◯計画」という名前の文書は、目標と手順を定めたものを指します。「総合計画」「事業計画」などがその例です。部署名と文書名で使い分けが定着しています。
豆知識
- 「企」の字:「企」は、人がつま先立ちして遠くを見る形からできた字とされます。「企てる」「企図」など、先を見て思い立つ意味の語に使われます。
- 「企画」と「規格」:同じ「きかく」でも「規格」は、製品などの標準や基準を指す別の語です。「規格外」「JIS規格」のように使い、変換ミスに注意が必要です。
- 「計画」と英語:企画は plan のほか project や proposal と訳されることが多く、計画は plan や schedule が当てられます。日本語の使い分けが英語にそのまま対応するわけではありません。
まとめ
- 企画(きかく)は、あることを行うために計画をたてること。何をやるかを考える段階。
- 計画(けいかく)は、あらかじめ方法や順序などを考えること。どう進めるかを決める段階。
- 辞書上は意味が重なるが、実務では企画が先、計画があとという順序になる。
- 「無計画」とは言うが「無企画」とは言わない。計画のほうが手順を整える具体的な行為を指す。
似た意味を持つビジネス用語の使い分けは、こちらの記事でも解説しています。
